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未診断疾患イニシアチブ (IRUDアイラッド)

「誰もが関係している遺伝子の変化と病気」

遺伝性疾患は体質や病気の原因が遺伝子の変化にあるという意味です。遺伝子の病気とは必ずしも「親子で遺伝する病気」という意味ではありません。問題になる体質や病気が家系内でたった一人しかいないということも少なくありません。実は、このような遺伝性疾患の種類はとても多く、7000種類を超えるとも言われています。最近は、まだ原因遺伝子がみつかっていない病気も含めるとすべての病気が「遺伝性疾患」であると言い切る医師や研究者もおられます。

「誰もが関係している遺伝子の変化と病気」

実際に診療をしていますと、個々の遺伝性疾患は何千人に1人とか珍しいのですが(希少疾患といいます)、このような希少疾患は種類が多いので、すべての種類を全部足すと十数人に一人が何らかの希少疾患に罹患しているという計算になります。なので実は「希少疾患で稀ではなく」多くの方が関わっているという考え方が広がっています。

「遺伝子検査とIRUD」

このような遺伝性疾患の診断を担っているのが「ゲノム診療科」とか「遺伝子診療部」といわれている部門です。遺伝子検査の前には必ず遺伝カウンセリングというのを受けて、検査の内容を理解してご自分の意思で受けてもらうことになります。遺伝カウンセリングは遺伝子検査を受けるのみならず、遺伝カウンセラーと臨床遺伝専門医が(主治医とは別に)病気の説明や、色んな困難や悩ましい判断をご自分で解決する手助けをします。

しかしながら、通常の診療や遺伝子検査をもってしても症状の原因となる遺伝子レベルの変化を突き止めることができない患者さんもたくさんいらっしゃいます。そのような場合、次のレベルの対応として遺伝子をすべて調べるという方法(網羅的遺伝子解析)で原因を探索することが可能です。このような方法が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)研究事業である未診断疾患イニシアチブ(IRUD)です。

大阪公立大学医学部附属病院はIRUDの拠点病院であり、遺伝子のレベルで病気の原因が分かっていない患者さんに関して院内のIRUD診断委員会で診断への道筋について様々な診療科の医師やコ・メディカルで議論し知恵を出し合い方針を検討します。そして、すべての遺伝子を調べる方法を行なうのも選択肢であるという結論になれば、その方針を患者さんやご家族に提案することになります。

「遺伝子検査で何か原因がわかったとき、そこから得られるものは」

このように大阪公立大学医学部附属病院ゲノム診療科では最新の遺伝医学を応用して、患者さんの診断につとめています。遺伝子検査の結果、仮に稀な病気であることがわかっても、医学の進歩によって治療法がある場合があります。また、現在の日本ですぐに使える薬がなくても、海外で導入されていたり、あるいは研究開発中であるという情報が分かる場合もあります。また、診断がつくことによって、どのような経過を辿るか、どのような臓器にどのような変化が起こるのかがわかると、病院の定期受診の際に必要な検査を適切に行うことが可能になります。

生まれたときから重い病気で原因がわからないままフォローされている子どもさんにとっては、遺伝子レベルで診断がつくことはご両親も本人も大きな前進と感じられる方も少なくありません。